2009-11-15

新幹線移送の報道に思う


先週はちょっとした用事で日帰りで奈良に行ってきました。
初めて近鉄ビスタカーに乗りました。(大鐵譲渡のビスタカーは除く)
車窓から風景が楽しかったです。

用事は思っていたよりも早く済んでしまい、午後がまるまるフリーになったので半日だけでしたが20年ぶりの奈良を観光してきました。


奈良は来年、遷都1300年であり、それに合わせてだと思いますが、興福寺では整備工事が行われています。境内の仮金堂では、今年東京と九州で公開され人気を博した阿修羅像が公開されていました。
話題の阿修羅像を私も拝観したいなと思いましたが、拝観者の列の長さや拝観まで150分待ちと言う案内表示を見て、拝観はまたの機会にしようと諦めました。

何か話題になると一気にブームになって、間もなく見向きもしなくなるって言う日本人の熱しやすく冷めやすい気質って、民族というか日本の文化なのでしょうかね。
( 例:江戸時代のお伊勢参り、オイルショック時のトイレットぺーバー買い付け )


特にどこに行く宛ても無かったので、世界遺産の元興寺に行ってきました。
ここは飛鳥から平城京遷都に合わせて、今の飛鳥寺の場所にあった寺が移された寺だそうで、屋根には当時の瓦も一部残っています。
( 赤土色の瓦が当時の瓦だそうです。)

同じ古都と言っても、京都とは違った、大陸の文化の薫りが感じられ、天平ロマンって気分でした。

市橋容疑者東京への「怒号移送」 マスコミ「狂騒曲」の一部始終 : J-CASTニュース

...身柄は捜査本部のある千葉県警行徳署まで移送された。報道陣も異例の体制を敷き、新幹線には多くの報道陣が同乗し、車内からは、少なくとも3社が生中継した。...

内容に問題の多いテレビ番組が増えたような気がして、最近はあまりテレビを見ていません。
そんな訳で、逮捕当日の様子はネットで文字情報としてしか知らず、翌朝ニュースで新幹線で移送する様子の異様さを知りました。

日頃、ちょっとした事故でも鉄道会社の安全対策について、合理性が乏しく、感情的としか思えないような批判を展開する大手テレビ放送局が、今回の容疑者移送に関して、鉄道事故を引き起こしかねない取材の在り方にして平気な顔をしている。

確かに国民の関心事であるけど、乗客やホームにいる方々を危険に晒し、更に、潤滑な容疑者移送を妨げてまで生放送で報道すべき事なのか疑問です。
視聴率が取れれば、何をやっても問題無いのでしょうか?
( 私が見た報道映像では女性の悲鳴が聞こえていましたが、彼女は大丈夫だったのでしょうか。 )

鉄道会社とテレビ局は共に、この日本の社会インフラを担う大切な会社です。
今回の新幹線移送においては、いくつかの社会インフラ会社が「知る権利を守る」という錦の旗の下に、別の社会インフラ会社の業務や警察の公務執行を妨害したと言えます。

かつて「日本人は礼儀正しい」と言われていました。もちろん、まだ多くの日本人はそうであると私は信じています。
しかし、テレビなど一部メディアに登場する人々の礼儀の無さに悲しさを覚えると共に、そういう人々を平気で登場させるテレビ局の無神経さと横暴さと、それを見て育つ若い世代の将来に不安を感じました。

先週の報道された事柄として、鉄道とは直接関係ないですが、ろくに審議・討論もせずに短時間で結論を出す乱暴な「事業仕分け」の内容も酷く感じました。
資源が無い日本には科学技術が大切なのに、対費用効果が期待できないと科学技術振興の予算がバッサリ切られるようです。

対費用効果が期待できないからこそ、営利を目的とした民間企業は基礎的な研究や開発は嫌がるのであり、代わって国公立の大学や研究機関が頑張らねばならないのです。
無駄が全くない事業は無いと思います。しかし、だからといって、ゼロイチ的な考えだけで事業を廃止したり見送る事は問題です。

例えは悪いが、宝くじを買ったからと言って1億円に当たる保証はないです。しかし、宝くじを買わなければ 1億円に当たる確率はゼロです。
科学技術に投資した金額に見合う新しい技術や発見が得られる保証はないです。しかし、投資しなければ 新しい技術や発見が生まれる確率はゼロと言わないものの、かなり低くなります。

東京新聞:『科学』傷だらけ iPS細胞生んだ事業や科学未来館
「国が掲げる科学技術立国が揺らぎかねない」。十三日の行政刷新会議の事業仕分けで、科学技術関連の事業が続々とカットの判定を受けた。...


今週は良いニュースがありますようにと願います。