2010-01-17

安全性と低コスト

JR福知山線の事故前後から、JR各社でいろいろトラブルが目立ってきているような気がする。
巨大な赤字を解消する為に旧国鉄は分社化・民営化された。
人件費を安くする為、自社の社員を減らし、いままで自社でやってきた保守管理など数多くの業務を、人件費の安い外部企業などに委託する傾向が強まった。
確かにコストパフォーマンスは良くなったが、人材的ゆとりが無くなってきた事もあり、ひとたび事故や災害が発生すると、復旧までに国鉄時代には考えられない程の時間がかかるようになった印象がある。
民間企業は利益を上げないと立ちゆかない。利益を上げる為には「遊んでいる」人を減らし、不採算部門や赤字路線を無くすのが普通の方法だと思う。
「遊んでいる」人を減らすと言う事は、手が空いている人を減らすと言う事であり、事故などの突発的な事態が起きた時、すぐに駆けつけて対応できる人を減らすと言う事である。
保守管理を外注すると言う事は、外注した事項に対する安全性に対する責任を全部または一部放棄しているようなものである。

東京新聞に掲載された記事は、技術が優れていても保守管理する人件費を惜しめば、結果として安全性が低下する事を示唆する物である。即ち、近年の鉄道事故や復旧時間長時間化の問題が、JR各社特有の問題で無い。
今までのマスコミには「民営化すれば競争原理で全て良くなる」とか「復旧時間がかかるのは会社の怠慢」と言ったような、調査・検証が不十分で独断的な報道の傾向が強い気がする。
安全はタダではないし、何事も精神論的に解決できるものでもない。
公共の電波を使っているマスコミには、視聴率を稼ぐばかりでなく、もう少し背景まで踏み込んだ調査や検証をしっかりして欲しいと思う。

東京新聞:技術の国のずさん管理 ベルリンの都市鉄道 部分停止半年 :国際(TOKYO Web)

ベルリンの都市鉄道「Sバーン」が部分停止に陥り、復旧しないまま半年が経過した。「マイスターの国」の首都交通は、安全管理の怠慢から大きな痛手を被り、混乱はなお数年続くとの見方まで出ている。背景には、親会社ドイツ国鉄の民営化問題も見え隠れする。...