2011-12-31

2011年もあと少し


2011年もバタバタと過ぎてしまい、あと数時間を残すばかり。
リニア鉄道館のジオラマの事やDVD-ROM「御代田のD51787」の事、大井川鉄道全線開通80周年の事、協三工業で小型SL受注の話題など書きたい事はいくつもあったのですが、仕事や雑用に追われてついつい。

2012年は正月休み明けからGW過ぎまでの間、逃げ出したくなるような日々がやってくる事はほぼ確定で、恐々としています。取引先の原則論的な仕事発注の姿勢と精神論的な仕事遂行要求の姿勢のどちらかがリーマンショック以前のレベルまで復旧して欲しい今日この頃。
また、国内では災害や事故(原発、鉄道)が多く暗い1年でした。
来たる2012年は良い年になる事を願わずにはいられません。

それでは、皆様、良い年をお迎え下さい。

2011-10-10

B6型2412号の今

ハードな毎日を抜け出したものの、かなり燃え尽き状態。
大井川鉄道を中心に開催されるSLフェスタに行く気力も残っておらず、3連休はのんびりモードです。
買い物で名古屋に出かける用事があった為、今年3月にリニューアルした名古屋市科学館に寄ってみました。

球体の天文館がカッコいいです。

ここにはB6型蒸気機関車である2412号や名古屋市電が屋外展示物になっています。
リニューアル工事中は見られなかったので、久々にその姿を見ようと思ったのですが。。。
なんと屋外展示場はリニューアル工事が継続中。

手前左側のネットの中にはが2412号が、手前右側のネットの中に市電があります。
蒸機の所にステップが取り付けられているので、今月10月末頃の工事完了後は外からキャブの中を覗く事ができそうです。
ちなみに、奧のネットの中にはH-IIBロケットが置いてあります。

せっかくなので、入館して理工館を駆け足で見学してきました。
以前、鉄道ジオラマや0系新幹線の運転室が展示されていましたが情報が古かったので、リニューアル後の科学館の展示に少し期待していました。
そして見事に期待は裏切られ、蒸機の模型が2輌と都市ジオラマだけに。。。

そのジオラマで動いていた車両は、N700と7000系パノラマカーくらい。
(もしかしたら地下鉄車両も動いていたかも。)
同じ名古屋市内にリニア鉄道館がオープンしたのだから仕方ないけど、単線の新幹線は非常に寂しいし、車載カメラを搭載して車窓を楽しめたら良かったのですが。

折角なので、以前撮影した写真を紹介。
先ずは、1998年5月に撮影した写真。


この頃は科学館の裏側で、人気(ひとけ)の少ない屋外展示エリアだったので、ゆっくり撮影できました。
10月末のリニューアル工事完了後の屋外展示は表側なので、ゆっくり撮影しようと思ったら休館日に行かないといけないかも知れません。
尚、銀塩フィルムのデジタルデータ化(フィルムスキャン)サービスで作成した画像なので、色が多少変です。

次にリニューアル工事開始後の2008年5月に撮影した旧理工館から見た2412号と市電の様子と0系新幹線運転室の展示。


天井が低い為、0系新幹線の運転室展示の苦労が偲ばれます。

2011-10-01

鉄道会社社長のあるべき姿を考える

JR福知山線の転覆脱線事故に関して、検察はJR西日本の前社長にATS設置を怠った事に過失があるとして刑事訴訟を起こした。
この話題を耳にした時、醜聞続きの検察が名誉挽回しようとして、JR西日本の前社長を「悪者」に仕立てているのではないかと感じた。

もちろん無実と無罪は別物である。しかし、日本は独裁者の思惑に左右される人治国家ではなく、「灰色なら白でなくても無罪」とする普通の法治国家である。
そんな国の検察がJR西日本の前社長を刑事告発するのであるから、ATS設置を妨害した等の証拠を見つけたと思ったら、小さな新聞記事を読む限り、単にATS設置に積極的でなかった事を過失にするらしい。

危険を予測しなかった事が罪?
では、この現場では転覆脱線事故以前に何回事故が発生していたのか?
何回も発生していながら放置していたのなら、その後の事故を予測せずに放置した過失は免れないだろう。
しかし、実際には運転手らが事故を起こさないように気を配り、全国報道されるような重大事故は発生していなかった。
たまたま何らかの理由で十分な気を配れなかった運転手が重大事故を起こしてしまったのだ。
他の会社では急カーブで事故があったから、予測して当然なのか?

子どもが犯罪を犯した時に「まさかうちの子に限って」と思う大人が多い日本において、自分の会社に限って、他社のような事は起こるはずがないと考えても仕方ない。

それでも危険を予測しろというなら、莫大な赤字を出し続けても安全装置をふんだんに設置できるように国営企業のままとすべきだった。
巨額赤字が問題として国鉄の分割民営化を是としたのは独裁者ではない。政治家というフィルタを介しているが、日本国民自身である。

いつから日本人は自分ができない事を平気で他人に要求するようになったのだろうか。
平和ボケして物事がきちんと考えられない人ばかりになったのだろうか。

例えて言うなら、鉄道会社の社長は、豪華客船の船長みたいなものである。
乗客が快適な船旅ができるように気を配る責任がある。
しかし、豪華客船の船長が自ら、全客室の清掃確認までする事が求められるだろうか。

船長は全知全能の神ではなく、限界のある人間である。
木も森も全て見る事のできる人間は世の中に居るのだろうか。
だからこそ、様々な責任者や従業員を配置して、それぞれに任せるのが普通である。

鉄道会社の社長も同じだと私は考える。
もちろん、前社長に過失がない訳で無いと私も思う。しかし、それはATSを設置しなかった責任ではない。
それは、運転手など現場の人間の声(ヒヤリハット)を吸い上げ、そこに潜む潜在的な問題を分析して経営陣に改善策を報告進言する組織を置かなかった責任であると私は考える。
終身雇用制度が崩れ、会社への帰属意識が薄くなった現代日本では、職場の人間関係の希薄化により、旧来の組織形態では潜在的な問題が上司や経営陣に伝わりにくくなっていると思う。
だからこそ、そんなヒヤリハット収集分析組織がインフラを担う大企業には必要だろうし、それを活用できる事が経営者の大切な資質だと私は考える。
そんなヒヤリハット収集分析組織を置かなかった事は刑事罰の対象ではないだろう。

また、社員監視にもなり得る組織に反対する者も少なくないだろう。
利益追求が求められる民間企業でありながらも、インフラを担う会社である鉄道会社。
利益と安全を両方追求する事は難しいが、「お客様は神様」の気持ちを忘れず、経営者・職員が一丸となって、より良いサービスを提供できるように頑張って欲しい。

言うまでもないと思うが、実際にはお客様は神様ではないので、乗客による鉄道職員への暴力や理不尽な要求に対して愚かな前例を極力作らないように、マスコミが愚かしく騒ごうとも毅然とした態度で対処して欲しい。

2011-09-24

ドラえもん電車と悪法と現代日本

「小田急F-Train」が条例に抵触、9/30でラッピング終了 - 車内装飾は継続

小田急電鉄は22日、通勤型電車3000形にラッピングを施した特別電車「小田急F-Train」について、9月30日でラッピング装飾を終了すると発表した。
「小田急F-Train」は、小田急線の登戸駅と向ヶ丘遊園駅を最寄り駅とする「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」のオープンを記念し、今年8月3日より小田急全線での運行を開始した...
マイコミジャーナル

テレビや新聞、ネットの報道を見ていると、ドラえもん電車を廃止する事を惜しむ声と共に、東京都の条例や融通の無さを批判する傾向が多い印象を受ける。
私もこの廃止は非常に残念であるが、悪法も法なりであって、法律や条令に従う事は法治国家として非常に当たり前で、仕方ないと思う。
この電車は夢を与えてくれるから法律を適用しないでドラえもん電車を継続して欲しいと言う気持ちは良く判るが、人間の気持ち配慮で例外ばかり設けていたら、法律の意味が無くなってしまう。
それがまかり通るなら、衛星放送を見ていない私は、視聴率ありきで内容が薄っぺらな地上波番組しか作っていない某放送局への放送受信料を払いたく無いし、そう思っている人もドラえもん電車廃止を惜しむ人より多いのでは?と思う。

この問題を追っていくと、いろいろ問題が見えてくる。
小田急電鉄は、幾多の改定はあるものの昭和24年から続く東京都の屋外広告物条例を軽視して、これくらいは問題無いだろうと関係役所への問い合わせもせず、法令遵守の意識が薄れていなかったのか?
東京都の屋外広告物法に従った看板等の設置は東京都の登録を受けた業者に限って許可いるようだが、悪徳業者排除の名目で同業他社の排除など利権問題が存在していないのか?
( 参考:東京都都市整備局:都市づくり政策 > 屋外広告物 )

自動車学校を卒業すれば自動車運転免許試験で実技が免除されるのと同様に、登録業者が設置した場合は広告審査が一部免除されるだけの登録業者制度だったら問題は少ないと思うが。。。

もしなら今回のドラえもん電車問題が発覚した時点で、小田急電鉄側が東京都に急いで登録申請を行って、東京都が直ちに審査を行う事ができて、ドラえもん電車の廃止を回避できたのではないかと思う。
もちろん申請書類は受理順に処理するという法令があったら無理であるが、法の適用範囲外なら日本の道徳的には反するかも知れないが、優先的に処理しても多くの国民や住民は理解してくれるのではと思う。

ドラえもん電車の広告条例抵触を最初に問題にしたのは、東京都の都市整備局なのか住民団体なのか広告業者なのかライバルの電車会社なのか分からない。
しかし、数キロ程度のオーバーなら見逃してくれる速度制限取り締まりの警官みたいに、ドラえもん電車を見て見ぬ振りをしていてくれたら、こんな事態にならなかったのに残念に思う。

悪法も法なり。
作られた頃は良くても時代にそぐわなくなった法律や条項はあるし、逆に必要なのに整備されていない法律もある。
戦前の国家・地域主義ではない、資本主義・個人自由主義の現代日本で、性善説的に政府・役所・企業・議員に白紙委任的に任せておける人は、お人好しなのか平和ボケなのか。

話は逸れてしまったが、これを機に東京都の広告条例の改善点や企業や国民の法律意識が高まると良いと願う。

2011-08-20

C6217とホジ6014とC57139とケ90

この夏休暇期間中にようやくJR東海のリニア鉄道館に行く事ができました。
ここの目玉は新幹線やリニア新幹線試作車ですが、JR東海が所有する貴重な蒸機も大きな目玉です。
この夏も暑いし、夏休みだから入館まで外でかなり待たされる事を覚悟して帽子を持っていったのですが、あおなみ線の金城ふ頭駅からリニア鉄道館まで鉄道高架や通り道に屋根があったので、日差し所か、少しくらいの雨もしのげそうな感じでした。
さて入館して、エントランスに世界記録を持つ3輌の車輌が置いてあります。
もちろん狭軌の蒸気機関車で最高時速記録を持つC6217もその1輌です。

エントランスは暗い上に蒸機のボディーは黒色なので、一昔前のコンパクトデジカメで撮影するのはキツイです。長時間露光の連続なので電池の減りも早かったです。
フラッシュ撮影は禁止ですが、目玉車輌と記念撮影したいのは普通でしょうから、うっかりフラッシュ発光しても仕方ないかもしれません。



東山公園での展示と違ってキャブの中も見る事ができます。
夏休み期間中という事もあり、見学者の列が結構長いので、あまりゆっくり見学できません。
仕事が落ち着いたら、平日に休みを取って、改めて見学しに行きたいです。


東山公園ではコストの都合もありますが、C62のボディや足回りは黒色や銀色のペンキで塗り固められていました。
そのペンキは落とされ、綺麗に磨き上げられた足回りを見せていました。




2階から機関車の上側がよく見る事ができます。
東山公園で展示してあった頃、屋根の上を見る為に東山公園の外の道をトコトコと歩いた事を思えば、空調の効いた空間ですぐに見られるのはありがたいです。


とても綺麗に手入れされており、また照明効果もあって、パッと見た感じ精巧に出来た鉄道模型のようでした。


2009年秋まで明治村に展示されていた蒸気動車キハ6401は、製造当時の形式名称であるホジ6005形式 6014として展示されていました。
明治村での最後の何年かは機関室前の扉を開けて、中のボイラーを見えるようにして展示していました。
ここでは通常の運行時と同様に前面扉を閉めた状態での展示です。


2階からは屋根の様子もよく分かります。
( 明治村ではコンクリート製の覆いの下にあり、上から見られる建物が近くになかった為、屋根の様子は分かりませんでした。)


前面扉が閉められた代わりに、運転室横の窓が開けられており、計器やボイラーの様子をすぐ近くで見る事ができました。


車内もすっかり綺麗になりました。
つり革も新調されたのですが、あまりにも綺麗すぎて明治・大正期の車輌のイメージが...
もっとも現在はつり革を製造するメーカーが少ないようですから、致し方ないかも知れません。


ホジ6014の隣というか前には、かつてJR東海の研修センター屋外に展示されていたお召し仕様のC57139が展示されています。
時々手入れされていたと思いますが雨ざらし状態だったので、錆びて朽ちてしまわないかと以前は心配していましたが、きちんと手入れされ、お召し仕様に相応しい輝きを放っていました。
お召し仕様はこうでなくっては。


2階からも上側の様子を見る事ができます。
車輌の下には操作可能な監視カメラタイプのビデオカメラが設置され、動輪横の操作盤で操作する事でC57の下の様子を見る事ができます。




エントランスのC62はキャブを見る人の行列が出来てじっくり見られなかったので、幸か不幸か、C57は人気がそれ程でなく、じっくりキャブを見る事ができました。




デフやランボードの飾りが独特で良い感じです。
梅小路のC581と違って、菊の紋章が取り付けられていないので、完全なお召し仕様状態ではないですが、それでも尚、貴重な存在です。








リニア鉄道館屋外には、C57と一緒にJR東海研修センター屋外で展示されていた軽便鉄道用の蒸機機関車 ケ90が展示されていました。
こちらは元々カットモデル状態になっており、リニア鉄道館でも屋外展示である為、あまり気合いの入った感じはしていません。
名古屋港という潮風の強い場所なので、さび止めを兼ねてペンキのコテコテ塗りも仕方ないです。

他の車輌やジオラマについては、また別の機会に書こうと思います。

2011-07-03

技術はお金だけの問題ではない

中国への進出を狙って高速鉄道の技術供与した日本勢の知的財産管理の杜撰さを痛感する事件が起こった。
パクリ特許取得阻止に断固対抗 中国版新幹線、試される知財戦略:産経ニュース


川崎重工業などが技術供与した新幹線の「特許」を主張する中国に対し、日本の鉄道関係者は、強い不快感と警戒感を示している。...新幹線輸出の旗振り役の国土交通省の幹部も「どこまで日本の技術が入っているかわからない。事態を見守るしかない」と話す。...川重は米国などで新幹線の製造技術に関わる特許は出願していない。中国に特許を握られると、価格競争では太刀打ちできないだけに、市場参入で不利になりかねない。...

特許出願すれば、他者が特許侵害のチェックができるように出願内容が一定期間後に公開される。更に登録後も特許の保護期間に期限がある為、期限後は誰でもその発明を利用できる。

企業によっては発明を秘密にしておきたいと特許出願しない所はあるが、それは余程特殊な技術で簡単に模倣できない発明に限って有効である。
今回のように、最終的にメンテナンスを全て相手国で行える事を前提としているにも関わらず、特許による技術保護をしないままに技術供与をするのは、自分の権利を放棄するようなものである。

特許を取得していれば「どこまで日本の技術が...」なんて言葉は出てこない。
特許には、自分の技術の範囲が明記されているからである。

中国が特許登録できたら「価格競争では太刀打ちできない」どころではなく、いくらお金を積んでも中国が日本メーカに特許使用許可を出さなかった場合、中国の特許登録国に対して、日本メーカが輸出すらできない状況に陥ってしまう。

科学や技術について「2番じゃダメですか?」なんて発言する人が国会議員になれる程、科学技術が軽視されている今の日本は技術立国の立場から陥落しているのだろうか。
2番じゃダメです。
1番でなければ特許は取れず、技術を守れません。

若い世代の理科離れが問題だとマスコミは騒ぐけど、若い世代が理科に興味を持つような番組や記事などのコンテンツをマスコミはどれだけ作っているのか。
誰しも得手不得手があるから、若い世代の全てが科学が好きになって欲しいとは言わない。
しかし、どんな良い原石でも磨かなければ宝石として使えない。
素質のある人がどんどん見つけられるように、国は学校の科学教育や知的財産教育をしっかり実施して欲しい。

2011-06-26

JR北海道の問題から社会を考える

特急全焼事故以外にもJR北海道に関して重大な事故や問題の報道が目立っているように感じる。

JR北海道“居眠り運転士”乗客写メで告発!:スポニチ

...男性運転士(26)が運転席で居眠りするのを乗客の男性が目撃。運転士からの報告はなかったが、男性が同日中に同社へメールで指摘し発覚した。男性は、居眠り運転の一部始終を運転席後方の窓から携帯電話で撮影。...男性のメールには「怖い思いをした」との記述もあった。...運転士は、1分間何も運転操作をしないと鳴る警告ブザーで目を覚まし、慌てた様子で腕を回して信号を確認。...運転士は7日午後から8日午前までの泊まり勤務で、5時間の休養を取っていたが「寝付きが悪くてなかなか寝られなかった」と話している。...


運転士の異常に対応するATSシステムがあるので、居眠り運転しても重大事故に至らないように設計されているが、列車の安全運行を脅かしかねない事故である。
この報道記事を読んで感じた事がいくつかあった。

共有が不十分なヒヤリハット情報
JR西日本の福知山線転覆脱線事故で問題視された社内情報共有の在り方が、少なくともJR北海道に関して不十分ではないかと感じられる。
大事故の影には多くのヒヤリハットが存在する。記事の運転士もうたた寝してしまったが、ATSシステムのおかげで事故に至らず、目を覚まして運転を再開できた。
この運転士は、ブザー音で目を覚ました瞬間、ヒヤッとしたのではないだろうか。
運転士から社に報告されていない所を見ると、ヒヤッとする事態を全社的に吸い上げて、職員の勤務環境を改善する取り組みが必要なのに不十分であると考えられる。
事故調査委員会と同様、重大事故に至っていない場合に限り、ヒヤリハット報告した内容に関しての処分を行わない代わりに、積極的に報告させる仕組み作りが必要だと感じられる。

ワガママな社会
この列車運転士に限らず、医師も同様(またはそれ以上)であるが、人件費を圧縮する為に最低限の人間で業務を進めようとする結果、一人一人の余裕がなくなっている。
人の命を預かる仕事なのに寝付きが悪いと言っても確保できた睡眠時間が5時間というのは短すぎる。
その一方、鉄道会社がインフラ企業と言えども、利益を追求する私企業である。
もし運転士、車掌や保線作業員などの安全運行を支える人達の勤務に余裕を持たせる為には鉄道運賃などの料金の上昇は避けられない。
料金が上がっても鉄道利用者が減らなければ問題ないだろうが、実際にはそうでない。
社会の多くは、品質向上と価格低下の同時実現という難題を企業に求める。
企業側には、その難題解決への努力を惜しんで欲しくないが、論理的に考えず一方的に難題を押しつけるばかりの社会は、ワガママ過ぎるのではないかと感じる。

そして、社会の過ぎたワガママを助長してきたのは、マスコミの責任もあると思う。
マスコミ各社には事件があった時だけ被疑者の悪い点だけを大々的に報道するのではなく、浅くて良いので多くのインフラ企業の経営状況をかみ砕いて報道して欲しい。
ちょうど、福島原発事故以降、東電管内の電気使用量状況がネット上では毎日毎時掲載され、社会の節電意識を高めているのと動揺、インフラ会社の社内状況や経営事情を3分程度で読める情報にできれば、"料金が高くなったから、もう利用しない"と言う短絡的な思考が働きにくくなり、回り回って、従業員の勤務環境改善に繋がるのではないかと考えている。

思考力のない人間
ワガママな社会の問題と重複するが、思考力のない人間が増えている事に危機感を覚える。
今回運転士は単なる居眠り運転で、ATSシステムのブザー音で目醒めたので大事なかったが、もし心筋梗塞など突発的な疾患により気を失っていた場合はどうだったのだろう。
車両の非常ブザーは、乗客の非常だけを伝える為のブザーではない。運転士の異常を見つけたら、非常ブザー等と使って車掌に通報すべきである。ワンマンカーだったら、運転席後ろのガラス戸を叩くなどして運転士の意識の回復を図るべきだろう。
列車を運転しているのは運転士である。( 自動運転の列車を除く )
運転士に命を預けている事に考えが及ばす、運転士の様子をただビデオ撮影しているだけという男性乗客の危機感というか思考力の無さには悲しくなってしまう。怖かったら、ビデオ撮影しているのではなく、非常ブザーで助けを呼ぶ事が先ではないか?

これほどでは無いが、何を考えているんだろうと思うような人を日常生活で多く見かけるようになった。それも若者ではなく、団塊の世代以上の年配の方が多い。
まぁ、それなりの年配ばかりの政治家が十分な考え無しに原発停止要請するし、それに諸手を挙げて賛同するマスコミが多いのを見ていると、それが普通の日本人であって、私のように考えたりする人や若者が変な日本人なのかも知れないけど。

2011-05-05

アルルとプルルと連結解放安全装置

このGW連休は"プルル"繋がりの地を2カ所行ってきました。


最初は、岐阜県のかかみがはら航空宇宙科学博物館。
昨年、地球に帰還した小惑星探査機はやぶさのカプセルが名古屋で公開された時に行けなくて心残りだったけど、車で15分そこそこの地で公開される事になり、行ってきました。
あんな小さなカプセルだけで、はやぶさ本体と共にイトカワまで旅をし、大気圏突入という過酷な状況を潜り抜けて地上に帰ってきた事に感動すると共に、それを支えたJAXAやNEC他多くの方々の尽力が並々ならぬ事を思うと、日頃の自分の仕事ぶりの至らなさを恥じ入るばかりです。
中日新聞:はやぶさの“軌跡”に列 各務原・博物館、帰還カプセル公開:岐阜(CHUNICHI Web)

地球から3億キロ離れた小惑星イトカワの標本を地球に持ち帰る偉業を昨年成し遂げた日本の探査機「はやぶさ」の帰還カプセルや、7年間に及ぶ宇宙の旅を紹介する特別企画展が29日、各務原市下切町のかかみがはら航空宇宙科学博物館で始まった。...



今回の展示会場となった、かかみがはら航空宇宙科学博物館は、銀河鉄道999の作者として有名な松本零士先生が名誉館長となっておられる事は知っていましたが、博物館のマスコットキャラクター"プルル"の存在は知りませんでした。
頭のプロペラは大空を駆け巡るだけでなく、情報発信のアンテナを兼ねているそうです。
かわいらしいキャラクターなのに「きけん立入禁止」表示のある柵に囲われているのが残念な気分です。

飛行機シミュレータが運用停止になっていたのは残念ですが、運用コストと来場者数を考えると仕方ないです。
リピータを獲得できる展示を如何に用意するかは、ここに限らず、多くの博物館学芸員の悩む所でしょう。多くの来場者を呼び込んだはやぶさのカプセル展示会後の博物館イベントに期待したいです。

次に訪れたのは、9ヵ月ぶりの大井川鉄道。

昨年誕生したマスコットキャラクター"アルル"と"プルル"が着ぐるみとしてこの春登場しました。
このGW期間中はSL列車の終着駅であり井川線の始発駅である千頭駅にて、SL列車の発着に合わせてお出迎えしてくれます。


昨年公開されたイラストを見た時、関係者には申し訳ないですが、実際の所あまり期待していませんでした。
しかし、実際に着ぐるみのキャラクターを見て、意外に良い味を出していて親しみの持てるキャラクターだなと感じました。

本線のSL列車と比べると知名度が今ひとつの井川線。
アプト式鉄道、秘境駅である奧大井湖上駅など見所があるので、私自身、多く利用したいですが、鉄道だけの移動となると運行本数と乗り継ぎの関係で行程が厳しくなるので、疎遠になりがちです。
昨年か一昨年くらいから、井川線とバスを連携させて千頭から閑蔵まで往復区間を2時間ほどで楽しめるコースや連休期間限定ですが奧大井秘境の旅周遊券を用意するなど大井川鉄道の力の入れ様が感じられます。
今回は予定に組み入れていなかったのですが、夏頃は奧大井の旅も楽しんでみたいと思っています。

今回、大井川鉄道を訪れて、気が付いたのが連結器の解放テコに取り付けられているオレンジ色の装置

近年、列車走行中に連結器の連結が外れてしまう事故が発生しており、大井川鉄道は国から対策するように要請がされていました。

もし傾斜がある区間で機関車と客車が切り離された場合、最悪の場合、客車が下り坂を勢いよく下って脱線、大事故に繋がる可能性があります。
大井川では大抵のSL列車には後補機として電気機関車が連結されているので、そんな事態は発生しない。しかし、電気機関車が連結されていない時もあるので、連結器の問題は重大です。
蒸気機関車、電気機関車ともに連結解放テコ付近に取り付けられていたオレンジ色の安全装置により、走行中の振動等で不意にテコが動いて連結解放しないように工夫されていました。
乗務員さんらの連結解放の手間は幾分増えてしまいましたが、乗客として安心して旅が楽しめます。

2011-04-26

東日本復興に向けて

河北新報 東北のニュース/鉄路復旧、明と暗 新幹線は早期再開 沿岸路線めど立たず

東日本大震災から1カ月半で東京―仙台間の復旧を果たした東北新幹線。大型連休初日の29日には、全線再開を迎える予定だ。ヒト、モノの集中投入で早期の再開を達成し、東北の玄関口の仙台駅を中心に在来線網もほぼ復活した。一方で、津波被害を受けた沿岸路線の復旧のめどは立っていない。...


新幹線「東京―仙台」再開も…停電でストップ ― スポニチ Sponichi Annex 社会
東日本大震災の被害で運休していた東北新幹線のうち福島―仙台の運転が25日、再開し、45日ぶりに仙台―東京の直通列車が走った。午後には停電のため、上下線で一時運転を見合わせたが、被災地では、今後、首都圏とのアクセスが向上することで復興に向けた動きが早まるとの期待が高まっている。...


資金と人員が有限である限り復興活動に優先順位が発生するのは避けられない。
だからこそ、水道や道路、電気などのインフラと同様に、それに関わる人々に希望を与えるシンボルを優先して復旧させたい。
そう言う意味で区間限定とは言え、東北新幹線が早々と営業を再開した事に驚かされ、希望の光を感じる。

残念なのは、架線補修が不十分で復興のシンボルたる新幹線が停電で停止してしまった事である。
短期間でここまで復旧させた作業員の方々の労苦に頭が下がります。
経営の観点からも早く営業を再開すべく、突貫工事は仕方ないものの、点検はしっかりして欲しい。
JR東日本の経営陣には、机上の数値だけでなく現場の状況をしっかり把握して、日本を代表する新幹線システムの品質や評価を下げないように勇気を持って気を配って欲しい。
もちろん作業員への気配りも忘れないで欲しい。

2011-02-26

最大級の鉄道ジオラマ

京都に国内最大級の鉄道ジオラマ 3月1日オープン - 47NEWS(よんななニュース)

嵯峨野観光鉄道は25日、トロッコ嵯峨駅(京都市右京区)に併設した鉄道ミュージアム「ジオラマ・京都・JAPAN」が3月1日にオープンするのを前に、展示する国内最大級の鉄道ジオラマを公開した。...

京都市 観光 嵐山 嵯峨野トロッコ列車

3月14日にオープンするJR東海のリニア鉄道館のジオラマと比べて2平方メートルつまり1畳強大きいものの、日本最大のジオラマとして注目していた嵯峨野観光鉄道のジオラマがメディアに公開されました。
写真で見る限り、大宮の鉄道博物館のジオラマと比べると作り込みが甘いとしか言えず、町並みがガラガラで寂しいです。
確かに予算の問題があるでしょうが、それならば、それなりの工夫が必要です。

例えば、嵯峨野観光鉄道のファン会員制度を新設して、特典としてジオラマ内に一定面積の場所を貸与するという方法があります。
会員はそこに自作の"家"などを設置でき、観光鉄道への愛着が増すでしょうし、観光鉄道側は会員制度の整備コストはかかりますが、ジオラマの整備と鉄道利用者増が期待できる事を考えるとメリットはそれなりにあると考えます。
鉄道沿線等の"1等地"争いなどをどのように回避するかの問題はありますが、訪問回数や継続年数を考慮した当選率による年度末毎の抽選方式を採用すれば不公平感は少なくなるのではと思います。
嵯峨野観光鉄道のジオラマの今後の発展に期待しています。

ところで、現在の公式サイトのトップページには、機関車と女性職員さんらの写真が掲載されています。この方達の雰囲気がとても良いと感じます。
観光鉄道の名にふさわしく、いい意味での下町人情というか暖かいものを感じます。

2011-01-22

年始に感じた事


2011年を迎えて、はや3週間。
12月半ばに初めての腰痛椎間板ヘルニアで腰痛に悩まされ、正月はどこにも出かけず、しかし、記事を書く気分になれませんでした。
ようやく腰痛も落ち着いてきました。

この正月の京都の梅小路蒸気機関車館では、蒸気の煤を利用した墨を使っての書き初め大会があったそうです。
[SLのすすで「墨」 梅小路蒸気機関車館、子供ら書き初めに挑戦 京都] - MSN産経ニュース

...今回使用した「墨」は、同館に展示されている蒸気機関車「D51形」を動かす際に炭を燃やして出たすすを、粒子が細かくなるまでふるいにかけ、水と絵画の接着剤などに使われる「ニカワ」を混ぜて作製。独特の輝きと、やや灰色がかっているのが特徴...


近年の私にとっての正月イベントは、大井川鐵道の年始ヘッドマーク付きの蒸機列車に乗りに行く事だったので、来年も梅小路で同様のイベントが開催されるとしたら、どちらに行くかかなり悩みそうです。

JR東日本では、蒸機の話題ではないですが、茜色と飛雲ホワイトのボディーが美しい秋田新幹線の新型車両E6系が秋田駅に試運転でお目見えした話題がありました。
ああいった綺麗な彩色の新幹線が東海道新幹線でも登場して欲しいです。

新幹線と言えば、新幹線運行システム「コスモス」によるトラブルが問題になっていました。
【新幹線トラブル】システム容量を超えたダイヤ修正作業が原因 - MSN産経ニュース
...雪のため線路のポイントが切り替わらなくなるトラブルが相次ぎ発生。駅間で車両が立ち往生しないよう、運行中の車両を最寄り駅に停車させるダイヤの変更作業を行った。
 同社の新幹線運行管理システム「コスモス」では、ダイヤ変更をすると画面上に関連するデータ修正が必要な個所が表示され、処理が完了すると消える。1本の列車を停止させると、100件規模のデータ修正が必要になるという。
 システムでは、修正個所を一度に表示できるのは最大600件だった。しかし、今回は約20分間で計24本を停車させたため一時的に上限を超えてしまった。...


マスコミ各社の多くは、今回のトラブルの問題点は「取り扱い列車数が増えているのに、システムの取り扱いデータの最大件数が600件と少ない事」、「システム取り扱い件数に上限がある事が現場に周知されていない事」として報道している。

多少なりとも制御コンピュータの開発に携わっている身として、今回の報道を見ていると、問題点は「取り扱っているデータ件数が上限に達した時のシステムの動作」である。

データ修正はシステムが自動で修正するのではなく、人間の手でデータを修正するのである。
人間の手でデータを修正する運用である限り、いくら機械側の件数を上げても、人間側の処理能力(担当人数や入力速度)が変わらなければ意味がない。

「システムの取り扱い件数が上限近くに達した時に”データ表示が上限件数に達した為、現在表示中のデータに対して修正が終わるまで、新規の要修正データの表示はできない”と警告表示」する機能がない事が問題だったと思う。

そういう論点で報道された記事は、私が知り得た範囲では1~2件しかなかった。
システム能力を妄信しているとJRを非難する割に、システムを更新すれば大丈夫と妄信しているマスコミの姿があり、そこから日本人の科学離れひいては論理的思考能力の低下を感じざるを得ない。

もう既存メディアに頼ってはいけない時代になったのだろうか。
ネットの情報は玉石混淆で頼り切ることはできないけど、その多様性で、停滞する日本人...特に若い世代...の考え方を活性化していく事を切に願っている。

前回の記事に引き続き、マスコミへの不満だらけの記事にしてしまい申し訳ないです。
相変わらず、何かと暗くて余裕が無い世の中を過ごしていますが、明るい話題を提供できるように頑張ります。