2011-07-03

技術はお金だけの問題ではない

中国への進出を狙って高速鉄道の技術供与した日本勢の知的財産管理の杜撰さを痛感する事件が起こった。
パクリ特許取得阻止に断固対抗 中国版新幹線、試される知財戦略:産経ニュース


川崎重工業などが技術供与した新幹線の「特許」を主張する中国に対し、日本の鉄道関係者は、強い不快感と警戒感を示している。...新幹線輸出の旗振り役の国土交通省の幹部も「どこまで日本の技術が入っているかわからない。事態を見守るしかない」と話す。...川重は米国などで新幹線の製造技術に関わる特許は出願していない。中国に特許を握られると、価格競争では太刀打ちできないだけに、市場参入で不利になりかねない。...

特許出願すれば、他者が特許侵害のチェックができるように出願内容が一定期間後に公開される。更に登録後も特許の保護期間に期限がある為、期限後は誰でもその発明を利用できる。

企業によっては発明を秘密にしておきたいと特許出願しない所はあるが、それは余程特殊な技術で簡単に模倣できない発明に限って有効である。
今回のように、最終的にメンテナンスを全て相手国で行える事を前提としているにも関わらず、特許による技術保護をしないままに技術供与をするのは、自分の権利を放棄するようなものである。

特許を取得していれば「どこまで日本の技術が...」なんて言葉は出てこない。
特許には、自分の技術の範囲が明記されているからである。

中国が特許登録できたら「価格競争では太刀打ちできない」どころではなく、いくらお金を積んでも中国が日本メーカに特許使用許可を出さなかった場合、中国の特許登録国に対して、日本メーカが輸出すらできない状況に陥ってしまう。

科学や技術について「2番じゃダメですか?」なんて発言する人が国会議員になれる程、科学技術が軽視されている今の日本は技術立国の立場から陥落しているのだろうか。
2番じゃダメです。
1番でなければ特許は取れず、技術を守れません。

若い世代の理科離れが問題だとマスコミは騒ぐけど、若い世代が理科に興味を持つような番組や記事などのコンテンツをマスコミはどれだけ作っているのか。
誰しも得手不得手があるから、若い世代の全てが科学が好きになって欲しいとは言わない。
しかし、どんな良い原石でも磨かなければ宝石として使えない。
素質のある人がどんどん見つけられるように、国は学校の科学教育や知的財産教育をしっかり実施して欲しい。