2012-07-28

SLくんの夏

大井川鐵道では夏休みの子ども向け企画として、大鉄キャラクターで青色の機関車「SLくん」を実車になって走らせています。
そんなSLくんに会いに大井川鐵道に行ってきました。

大井川鐵道では、夏休み企画としてSLくん走行の他、転車台・車両区整備工場見学やSL機関士体験教室も開かれており、合わせて楽しんできました。

整備工場見学は、この春に整備された見学通路からの見学になります。
ファンとしてはもっと間近に見たい所ですが、見学者の安全性の確保などの都合上仕方ないです。
通常はツアー客のみの取扱のようですが、この夏は予約なしの個人客でも見学できるので、気軽に楽しめます。

整備工場の外では、かわね路号として準備中のSLくんがいました。

尚、SLくんはC11227が充当されています。

また、写真にはありませんが、転車台の底面に下りての機関車撮影では、機関車を挟んで両側に梯子が用意され、いろいろな角度からの撮影を楽しめます。

新金谷駅に入線し、出発の時を待つSLくん。
それを見ている男の子はどう感じているのでしょうか。

SLくんは元気に走ります。
車内では天井の扇風機が回っていましたが猛暑の前には歯が立ちません。
車内販売で冷たいお茶缶を購入して凉を取りました。
うちわも必需品でした。

無事に千頭駅に到着。
この日( 7月27日 )も気分が少し悪くなるほど猛烈な暑さ。
そんな中、機関室で頑張っている機関士さんらには頭が下がります。

SLくんのアップ。
意外にまつ毛が長いです。

千頭駅の転車台は手動式。
女性車掌さんも頑張っていました。

千頭駅舎に隣接する建物には資料館と展望休憩所があります。
展望休憩所はしっかり冷房がかかっており、待ち時間等を涼しく過ごす事ができます。
実際、この暑さで気分が悪くなった私は、この休憩所のおかげで助かりました。
でも、入り口の扉がない状態でエアコンをガンガン効かすのって、日本中節電モードの今のご時世では問題のような気がします。
あまりコストをかけず、冷気を逃がしにくい方法って無いものでしょうか。

展望休憩所はその名の通り、井川線乗り場を中心に千頭駅構内を見渡す事のできる場所です。
本線は角度的にちょっと見通しが悪い為、撮影に不向きですが、SL入線シーンは見られます。

SL体験教室は毎回先着20名のイベント。
夏休み中とは言え、平日だったので、のんびり楽しめました。
( 単に私が子どもで無く、他の客がなかなか来なかったから、スタッフの方に構ってもらえなかっただけかも... )

尚、汽笛を鳴らす事はできましたが、当然、機関車を動かす事はできません。
( 写真はポーズだけ )

この日は、SLくんの他に、C5644が走っていました。

大井川鐵道には関係無いですが、私は千頭に来ると何故か駅前の「音入れの滝」を撮りたくなります。
昔は名札が立ててあったのですが、いつの頃からか無くなりました。
尚、内部はいたって普通な公衆便所です。

川根温泉近くの鉄橋にてSLくんが牽引するかわね路14号を撮影。

多くのSLファンには、黒色以外の色の機関車は不評みたいです。
でも、輸送ではなく観光の目玉である大井川のSLですから、たまには毛色の変わったSLが走っても良いと私は思います。
訪れる度に違う表情や景色が見られるからこそ、何回も見に行きたくなるものです。
違う表情を見せるのは天気や周りの風景だけでなく、主人公たるSL自身もありかなと。
もちろん、年がら年中、いつも変わり種ばかりでは、私も困ってしまいますが、夏休みで何年かに1度程度なら、そんなイベントも一興。

川根温泉笹間渡駅の駅舎内にコーヒー専門店ができていました。
残念ながら気付いたのが乗車予定の列車到着3分前だったので、今回は諦めました。
どんな味なのでしょうか。次回の大鉄訪問時が楽しみです。

川根温泉笹間渡駅の代わりではないですが、新金谷駅の駅舎内のカフェ「This Is Cafe」に入ってみました。
扉が閉まっており、もう閉店したのかなと思いましたが、よく見たら「OPEN」の札が掲げており、営業中でした。

マスターに伺った所、通常、朝9時から夕方5時までの営業ですが、ビール列車など臨時SL列車が走る時はその運行に合わせて営業時間を延長するとの事でした。

この新金谷店のオリジナルメニュー「SLラテ」を頼みました。
SLラテの模様を描く様子はじっくり見られます。
背景の模様はSLの蒸気をイメージしているそうです。
SLラテに限りませんが、飲み物表面に模様を描くのはやり直しがきかないですし、お客さんに見られながら手早く描くって素直に凄いと感じます。
記念撮影コーナーには小物が置いてありましたが、特に何をする事もなく、記念撮影だけ。

小腹が空いていたので、昔ながらのドーナツも食べました、
毎朝、このお店で揚げているそうです。
今どきの「ヘルシー」なドーナッツと異なり、油っぽいですが、素朴で美味しかったです。
飲むのはもったいないSLラテももちろん美味しかったです。
他にお客さんが居なかった事もあり、マスターとしゃべりながら楽しい一時を過ごせました。

おまけ。
今回は新幹線で名古屋から大井川に行きました。
新幹線最寄り駅である掛川駅は、東海道新幹線停車駅では唯一の木造駅舎との事。
そんな訳で途中下車して、駅舎を何枚か撮影しました。

木造駅舎と言っても、実際に木造なのは東海道本線側である北口側のみ。
Wikipediaによると昭和15年(1940年)に建設された駅舎との事。

建物の足回りは時代を感じさせる作り。
コンクリート造りが普通となった今、とっても新鮮な印象を受けます。

駅舎内は広くて開放感があるものの、照明の配線等の見栄えが少し残念。

東海道新幹線側である南口側の駅舎は当然鉄筋コンクリート造りですが、新幹線ホームの柱のデザインが木を意識した当たりは木造駅舎の掛川駅らしいです。

2012-05-05

B6形2412号に会いに名古屋市科学館へ

昨年10月、B6形2412号に名古屋市科学館に行ったものの、科学館の屋外展示エリアは工事中だった為、2412号機には会えませんでした。
今度こそは...と今年のGWは名古屋市科学館に行きました。
開館40分前の時点で、プラネタリウム希望者の列が科学館をぐるっと1周する程だった為、プラネタリウムは諦めて常設展示のみを見る事にして、
屋外展示のお目当てのB6形2412号機関車を撮影しました。

昨年10月の時と違ってブルーシートの覆いも無くなり、その姿がすっきり見えます。

機関車横の階段を上がればキャブ内部を見られるかなと思っていたのですが、階段の手前に鎖が張ってあり上れません。
何かのイベントでキャブ内部を見学できるようにするのでしょうか。

ふと気付いたのですが、この保存機には庇(ひさし)が付いています。B6形の古い写真を見ていると、庇が有ったり無かったりといろいろです。
配属された機関区で独自に取り付けていたのでしょうか。

綺麗に再塗装された姿を見るとホッとします。

静態保存では手入れの手間を省く為、往々にして主連棒がコテコテにペンキ塗りされます。
ここではそんな事はなく、ホッとしました。

蒸機と科学館のツーショットを撮ってみましたが、やっぱりしっくりきません。

名古屋市電1400形1401号機も綺麗になりました。

市電と科学館のツーショットは意外に合うような気がします。

理工館4階の天文館のすぐ横から蒸機と市電を撮影してみました。
貧弱なコンパクトデジカメではあまりクリアに撮影できません。

理工館3階の鉄道ジオラマ...正式には都市パノラマですが...では、オペレータによる実演が行われていました。

車輌前面にカメラが搭載されており、そこからの映像を壁面に投写していました。
実演の時だけで無く、実演以外の時も表示できるといいのですが。。。

オペレータ室内の様子。
操作室の前からテレビ塔や名古屋市役所庁舎が見えます。
でも市役所庁舎の隣にあるはずの愛知県庁舎が見当たらないですね。

オペレータ室はこぢんまりしていますが、このデザインは好きです。

屋外展示の目玉とも言うべき、H-IIBロケットの開発試験用の実機です。
さすがに全体ではないですが、主要部が展示されています。
フェアリングの横に出っ張った部分がありますが、これは補給機「こうのとり」の出っ張りを覆う部分だったそうで、この部分は実際に宇宙に行った部品だそうです。

国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」の船内実験室の構造試験モデルです。
スペースシャトルで宇宙に運ぶ時に、シャトルに与える影響評価の為のモデルだそうです。
覗き穴があったので期待して覗いてみましたが、残念な思いをしました。

生命館の階段横の窓から見てみるのも一興です。

ちなみに生命館の2階にマプサウルスの復元骨格(化石のレプリカ)が展示してあります。
科学館のレストランのメニューには、そのマプサウルスをイメージした食事が用意されています。

それが、マプサウルス・ハヤシライスです。
まぁ、恐竜の形をした揚げ物と小さいゆで卵が載せてある以外は普通のハヤシライスです。

また、コインロッカーの扉の図柄が元素周期表ってのも科学館らしくて良いです。

常設展示物と蒸機の撮影で1日が終わりました。


2012-02-18

簡単な紹介「御代田のD51787」


DVD-ROM「御代田のD51787」は、しなの鉄道の御代田駅近く静態保存されているD51をいろいろな角度から撮影した7000枚以上のカラー写真と2500枚以上の寸法付き白黒写真を収蔵する記録写真集です。
静態保存機は保存状態が良い物が少なく、更に保護する為の柵や時間の都合などでなかなかじっくり心ゆくまで見る事ができないものです。
私は蒸機が日常生活のなかを現役で走っていた煙害時代を知らない事もあって、高機能だけど電子化が進みブラックボックス的な今どきの鉄道車輌より、非常にメカニックな蒸気機関車に魅力を感じます。
蒸機本やDVDでは力強く走行するカッコいいシーンを納めたものは多いですが、機関車のメカニックの魅力を伝えるものは少ないです。
またメカニックの魅力は梅小路蒸気機関車館などで好きな時に実際に見て触れてがベストですが、近所に住んでいない限り、いつでも気軽に見に行けません。

昨年11月から浅間縄文ミュージアムのショップなどで販売されているこのDVD-ROM作品は、そんな私にぴったりで、いつでも気軽に蒸気機関車を「覗いたり見つめたり」できる写真資料集です。
寸法付き写真も多いので、きっと鉄道模型製作されている方にも役立つ資料でしょう。

機会があれば、私は機関車を結構見ているつもりでしたが、意外に見ていないもので、こんな部品が付いているんだと感じる写真が山のようにありました。
よくぞ、こんな所を撮影したものだと敬意をもってマニアックな写真の数々。
ここに時々コメントを書き込んで下さる末吉様が撮影・編集された写真ですが、末吉様の並々ならぬ情熱を感じました。
( 余談ですが、本人は「もう鉄道ファンではない」との事ですが、そんな今がこうだとしたら、かつての「鉄道ファン」だった頃はどんなに凄かったのでしょう。)

良いことばかり書くと、最近流行のステマ(ステルスマーケティング)っぽくなるので、残念だった事も書いておきます。
それは、DVD内部のデータフォルダ名称やリンクの張り方がMS-Windows向けだった為、Internet Exploreでは見られましたが、最新のFirefoxではきちんと見られなかったです。
( Operaや古いFirefoxは使っていないので不明。)
具体的には、データフォルダ名称やリンクに MS-Windows独自のファイル管理で許可している半角スペースや半角¥マークが使われていました。
この結果、Windowsと親和性の高いIEでは問題無いですが、そうでないFirefoxではリンク先がうまく判別できなかったのです。

ちなみに、対策として、私はDVD-ROM内容をパソコンに取り込んだ上で、データフォルダ名称やリンク等を変更修正する事で最新のFirefoxで快適に見られるようになりました。
( 複数ファイルに跨がって検索置換できるテキストエディタを使い、半角スペースや半角¥が入っているフォルダ名やリンクを地道に修正しました。 )

大半の写真はサイズが1500x1000前後のあるので、UXGA(1600x1200)とか最近流行のフルHD(1920x1080)くらいの解像度がある大きめのモニターを使っているMS-Windowsユーザー向けになってしまいますが、蒸機メカニックに魅力を感じる方にお薦めの電子資料集だと思います。

2012-02-04

日本の常識は世界の非常識

今週は私が住む愛知でも肌痛いくらいの寒さでした。
私が子どもだった30年以上前は、普通に雪は降っていたと記憶しているから、これくらいの寒さも珍しくなかったと思う。
諏訪湖では4年ぶりに御神渡りがあったとか。
つい2、3年前まで日本中で「地球温暖化だ!」「シロクマ救え!」「CO2削減しよう!」って騒いでいたけど、某公共放送を始めマスコミ各社はすっかりトーンダウン。
そもそも、その頃でも世界的には温暖化が問題ではなく気候変動が問題であった。北極圏に近い地域では氷が減ったおかげで資源開発などが活発になった所もあったとか。

そんな「日本の常識は世界の非常識」って事は「地球温暖化」だけでなく、鉄道でもありますね。
列車の遅れが2、3時間ならともかく、2、3分遅れただけで謝罪のアナウンスが流れる程、鉄道ダイヤに正確さが求められる事は周知ですが、時々目にする「SLの火入れ式」も同様だと思う。

「SL久留里線100周年記念号」安全運行祈願( 産経ニュース、2012/02/02 )

JR木更津駅構内で2日、内房線と久留里線の開業100周年を祝って走る蒸気機関車「SL内房100周年記念号」のボイラーの火入れ式が行われ、関係者は運行の安全を祈願した。
...火入れ式で、地元の八剱八幡(やつるぎはちまん)神社の神主が祝詞を上げた。石炭とまきをくべたボイラーに火が入れられると機関車の煙突から煙が上り、本番に向けての準備を整えた。

発展途上国などの工業化が進んでいない地域ならいざ知らず、科学や工業技術力は世界トップクラスの日本ですが、ボイラーの火入れ式など節目の時に地元の神社の神主さんに祝詞を上げてもらう事は普通にあります。
中世ではない現代の欧米諸国で、ボイラーの火入れ式に神父や牧師を呼んで祝祷を上げてもらう事はないでしょう。

それを考えると、「科学は万能」と言う錯覚と傲慢に陥りやすい現代において、神主にお祓いしてもらうと言う風習は、まだまだ科学の及ばぬ未知の領域があると認める風習であり、八百万の国らしいし、自らの思いを謙虚にできる場として今後も大事にしたい日本の風習だと思っている。

そういう大切にしていきたい「世界の非常識」とは別に、変えていくべき「世界の非常識」の話題もありました。


取手駅のホーム床下に白骨遺体( スポーツ報知、2012/02/04 )

 茨城県取手市のJR取手駅のホームの床下で、身元が分からない白骨化した遺体が見つかった。2日午後2時40分ごろ、構内の調査をしていた駅員が発見して通報。...ホームの下にトンネルのようになっている空間があり、40メートルあまり奥に入った場所で、土の上の段ボールに横たわっていた。...

恐らくホームレスが雨露をしのぐ為に入り込んでと言うパターンだろう。
問題は亡くなった不幸な方がいる事では無く、その方が白骨化するまでの期間、相当な臭いがあっただろうが、駅員も駅利用者も気付かなかった事が問題である。

9・11や地下鉄サリン事件などの後、欧米先進国ではテロへの警戒を高めている。特に駅や空港、繁華街、議事堂や役所はテロの脅威に晒されやすいから警備は厳重と聞く。
日本でも大都市を中心に駅ホームからゴミ箱が撤去されたり、中が分かりやすい透明なゴミ箱に置き換えられている。

そんな状況の中で、多くの人が利用する駅ホームの下に、死体が白骨化するくらいの"長期間"、誰も中をチェックしない空間が存在すると言うのは、そこに時限爆弾を仕掛ける事が容易で有り、警戒心がなさ過ぎと言われても仕方ないだろう。

日本では、かつての"村社会"のように、小さな社会でお互いが過干渉気味だが、その結果、地域の治安が守られるような時代は過ぎ去っている。そして、各々の地域では国内外から善人・悪人を問わず多くの人が往来する事が普通の時代になっている。

"ここはアメリカでは無く平和な日本であって、まさか自分が利用している駅でテロはないだろう"という盲信は、通用しなくなっている。
特に都市部の鉄道各社には是非、駅ホームや車両基地を中心に警戒態勢を再構築して欲しい。どうしても警備費等がかさむなら運賃等に反映せざるを得ないだろう。
その時は、利用者が納得できるように情報開示はして欲しいし、利用者も単に運賃の額面だけで判断せずに、社会インフラである鉄道の維持の為にも利用を続けて欲しいと思う。

2012-01-14

鉄道会社経営者の責任

JR福知山線脱線事故に関するJR西日本の前社長らの刑事責任を問う裁判について神戸地裁は無罪判決を出した。
福知山線脱線事故:JR西前社長に無罪判決…神戸地裁:毎日新聞

乗客106人が死亡し多数が負傷した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告(68)に対し、神戸地裁は11日、無罪(求刑・禁錮3年)を言い渡した。鉄道事故を巡り、巨大事業者の経営幹部に刑事罰を科せるかが焦点だったが、岡田信(まこと)裁判長は「JR西に多数存在するカーブの中から、現場カーブの脱線転覆の危険性を認識できたとは認められない」と、事故の予見可能性を認めなかった。...

法治国家の日本として極当然な判決結果だと私は感じる。
前社長が安全対策予算を認めなかった等の安全対策を妨害した確たる証拠がない限り、例え黒に近いグレーであっても有罪にしないのが日本の法律であり、日本は法律を守る法治国家である。
事故で亡くなった方々や遺族の方々の気持ちを思うとあまり強く言えないのであるが、感情で有罪・無罪が決まるとしたら、独裁者国家と何も変わらない。
( もちろん独裁者国家が悪とは限らないが、独裁者の気持ちひとつで国や国民の生活が大きく変わってしまう。)

この件に関してマスコミ各社は触れていないが、そもそも何故、国鉄が分割民営化されたのかを考えてみる必要がある。
理由はいくつもあるが、大きな理由のひとつに巨大な累積赤字の解消がある。
累積赤字の返済を民営化したJR各社に委ねたのだから、JR各社としては採算重視の経営方針を取らざるを得ない。

この現場にATSがあれば事故を防げたはずと言う意見を良く目にする。
それは確かにそうかも知れない。しかし、それを言い出したら切りがなくなる。
ATS装置はタダでない。
ATSがあればと主張する人は、赤字は気にせず、無限に国民の税金を投入しても良いから、とにかくATSを設置すべきと主張するのだろうか。

事故シミュレーションして、危ない箇所だけATSを設置すれば良いと意見もあるだろう。
昔シミュレーションを少しかじっただけの知識であるが、私自身はシミュレーションは重要な参考資料となり得るが、絶対的に信頼できるものとは思えない。

鉄道事故のようにシミュレーションのパラメータ(列車速度、列車重量、重量の分布、乗客数、乗客の分布、風速、気温、等々)が非常に多い場合は、パラメータが少し違うだけで、全然異なる結果が出てる事が珍しくない。
また、解析技術はどんどん向上するだろうから、現在のシミュレーションでは「安全」でも10年後は「やや危険」と判定されるかも知れない。

現場の急カーブのレールが敷設された当時、前社長が鉄道本部長だったから前社長は容易に危険が認識できたはずと言う意見もナンセンスだと私は感じる。
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」って有名なセリフがある。
JR西日本の鉄道本部長は、管轄の膨大な路線長の全路線を隈無く視察できるほど暇なのだろうか。
福知山線事故現場が急カーブになってすぐに事故が起きた訳ではないし、運転士が感覚的に危険だと感じても、それが数値化された情報として報告されなければ、会議室では「危険」とは認識されないだろう。
「危険」がなければ、民営化時に負った累積赤字分の債務返済の為に、とにかくコスト削減に努めるのが民間企業の経営者の責務である。

それらの観点からすると、JR西日本の前社長の刑事的な責任はなく、無罪判決は当然だと私は考えた。

しかし、それは法律という最低限のモラルの問題にしか過ぎない。
これはJR西日本に限った話ではなく、多くの大企業や政治家、官僚、公務員に言える話であるが、自社や自分の社会的な地位に見合った社会的な貢献を行っているかを日々点検する気持ちが薄れていないだろうか。

一般国民は、労働と納税、次世代の教育、各種法律への遵守程度で十分かもしれないが、大企業や政治家、官僚や公務員には、社会の顔や公僕として、国民に尊敬されるような行動規範が求められるのではと思う。
そういう観点で見ると、政府、官僚、大手鉄道会社の経営陣の安全に対する努力が残念ながらいまひとつ伝わってこない。

政府や国土交通省は鉄道各社の安全対策の促進にどのように支援しているのだろうか?
鉄道会社は現場の危険情報をどのように収集しているのだろうか?

安全対策はお金はかかるが収益向上に繋がるものではないから、企業任せにせず、国も積極的に支援すべき事項だと思う。
例えば、国が助成金を支出して、国の研究機関・大学と鉄道会社の共同研究で、運転士や乗務員の漠然として表現できない危機感・不安感と列車運行の危険性の相関を簡単に数値化できる手法が開発できれば、鉄道各社の安全対策の優先順位の決定に貢献できるだろう。
安全対策に対して国が助成金制度を設ける場合、助成金額の算定基準として利用できれば、税金を効率よく活用できるかも知れない。

走行時に運転士らが感じる列車の振動や加速度、視界の様子、運転士の個人差などと数値化が難しい研究対象であるが、国や国交省も法律を作ったから、あとはよろしくとばかりに安全対策を民間企業に丸投げせず、積極的に関わって欲しいと思う。

もちろん、納税者である一般国民も「自分は鉄道を利用しないから、そんな事に税金投入するな」と脊髄反射的に拒否せず、家族や親戚、知人が事故に巻き込まれないようにと願って、国の支援も応援できるような気持ちのゆとりを持てるといいなと思う。

2012-01-03

2012年 蒸機詣で

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

この正月は大井川鐵道と愛知子どもの国に蒸機詣でに行って参りました。

大井川鐵道では、今年の元旦のSL列車は重連運転でした。


なかなか見られない重連運転と言う事で正月早々、大井川鐵道に向かいました。
過去の正月と比べて今年のSL列車は乗客が多く、お座敷客車を含めて客車が7輌という繁忙期並の長編成。
線路際には多くのファンがカメラを構えており、重連運転への注目度の高さを感じました。



終着の千頭駅ではSL列車乗客へのお年玉プレゼントの発表があり、駅前では地元の方による太鼓演奏がありました。
お年玉プレゼントは残念ながら外れ、蒸機撮影していた為、太鼓演奏は響いてくる太鼓の音を聞くのみでした。



上りのSL列車を川根温泉付近で撮影する為、一足先に電車で川根温泉笹間渡駅に向かいました。温泉に軽く浸かり河原に下りてSL列車を待ちました。
汽笛が聞こえSL列車がやってくる。
カメラを構えて。。。あれ、重連じゃない???プッシュプル???
列車通過後、重連を期待していた周りの人達も落胆の声を上げていました。
あとで聞いた所、227号機は途中で調子が悪くなった為、重連運転できなくなったとの事。
大井川鐵道と沿線観光の収入の要(かなめ)である機関車のひとつなので心配です。
故障が深刻なものでありませんように!!
尚、曇天で白煙が消え、コンパクトデジカメなのに流し撮りせず、被写体ブレした写真しか撮れていないのは、重連でなかった事による動揺の為で無く、単に私が何も考えていなかった為です。
終わりよければ全て良しとなるように、気を引き締めねば。

翌日2日は、存続が危惧されている愛知子どもの国に行って参りました。


ここで子ども汽車として走っているタンク機関車「まつかぜ」「しおかぜ」、テンダー型電源車及び客車は、昭和49年に福島県の協三工業で作られた車輌です。
特に機関車は石炭(ピッチ練炭)を燃料とする本物の蒸気機関車。
三河湾からの冷たい海風が吹く中、この日の牽引機「まつかぜ」は5両の客車を引っ張って元気よく走っていました。
今年が、この「まつかぜ」の故郷である福島県をはじめとする東日本大震災の被災地が元気よく復興への道を走ってゆく年になる事を願っています。