2006-05-20

鉄道マニアの視点

『鉄道マン元気出せ』
東京新聞

一体どうなっているのか。当たり前の日常を支える公共交通の主役、鉄道に大きな揺らぎが起きている。・・・
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事故が起きる度にその分野の評論家を名乗る人がテレビや新聞・雑誌に登場し、各々の意見を展開する。そう言うのを見聞きして、なるほどなと思う意見である事が多いが、時々頭をかしげたくなる意見や不完全燃焼な意見は少なくない。
評論家は評論によって収入を得ている。それを報道するマスメディアは受信料や広告料によって支えられている。つまり、利害関係が発生している中での主張である。主張によって収入が減るとしたら、そんな主張はしないし、報道されないだろう。
そういう観点から見ると、利害関係を伴わない、生活とは別の世界として趣味を捉えて突き進む、それぞれの分野のマニア達の意見は、マニアゆえに磨かれた感性に裏打ちされており、納得できるものが、評論家の意見よりも多い。( 確かに大型の計算機でないと算出できないような内容に関しては、きっちりした数値をもって答えられるマニアは滅多にいないが。)
彼らの意見を採り上げた記事であるが、より詳しく率直な意見を聞くには、商業ベースの新聞ではどうしても限界がある。そういう意味でインターネット接続環境の普及は、マニア達の意見を「直接」知る事ができる、いい時代になったと思う。まぁ、マニア気取りの変な意見も入ってくるのだが。。。

・・・と書いていると、鉄道とは関係なくなってしまうので、鉄道の話題に話を進める。

記事中に「新幹線は死亡事故0件」っていう意見が出てくるのだが、人身事故以外での死亡事故は1件だけある。1995年(平成7年)、東海道新幹線三島駅で、ホームで電話していた乗客が乗り遅れそうになったと扉に手をかけた。乗客は扉に指が挟まれたが、車掌・駅員らは気づかず、そのまま列車が発車した。そして、その乗客は引きずられ、ホーム下に転落・死亡したのであった。この事件のあと、新幹線の各駅などで監視カメラが増設され、それ以降は人身事故以外の死亡事故は発生していない。
なぜ発生したのか。。。監視カメラが無かったから?それなら、何故、監視カメラが無いか少なかった国鉄時代に事故は無かったのか。。。
分割民営化で、JR各社がコスト削減を人件費削減に求め、駅員の数をどんどん減らした事が大きな理由の一つだろう。駅員は窓口や改札口にいるだけでない、ホームでは列車運行の安全を守る責務がある。その駅員を減らす事は、人件費ばかりでなく、安全対策費をも減らしているのと同じである。
監視カメラ増設により目の届く範囲を広げたので、安全性は一時より高くなっていると思うが、ひとりの人間の能力には限界がある。列車の運転高速化に伴う列車数の増加で、今よりダイヤが過密になれば、車掌や駅員らの単位時間当たりの安全確認量が増える事になる。JR各社を始め鉄道各社、そしてそれを利用する人たちには、人件費は無駄な費用ではないとの認識が広がり、安全のために本当に増資が必要な場合は運賃値上げしても許すのが普通になって欲しい。( その為には、利害関係がない第3機関がチェックし、公表する仕組みが必要である。)

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