2006-05-15

安全率と保険

このブログと取り上げたことについて、掲示板でご意見を頂きました。
とても大切な意見で、3ヵ月ほどで消えていく掲示板だけでは惜しいので、ここに転載します。


北上駅耐震補強工事の別の見方 記事に気になる男 at 5/14(日) 21:11:00
管理者へ 新聞記事からのみの判断ですが問題提起いたします。
 
柱頭部の鉄筋の位置は現場作業上位置の誤差が数センチ生じます。コンクリートの寸法、鉄筋の位置が設計図通りであり、穿孔が狙った位置に向かって上下左右に正確(数センチの誤差)で作業されることが前提となって居ります。基本的には作業上の誤差が忘れられてるのでは。
この様な工事では鉄筋が切断される要因を想定して、何を管理すべきかを検討し、なおかつ鉄筋が切断されたケースを想定して補強工事を設計する事が重要ではないでしょうか。工事作業者(職人)の責任にすることは容易ですが根本解決にはならない事を上位監理者は心すべきではないでしょうか。現に再補強工事を考えてるではありませんか。机上では直線は画けても現場では誤差がでる。デスクワークだけでは解決できない、工事はフィールドワークであります。

工学をかじった者として、安全率という概念を忘れていた事を私は恥ずかしく思いました。
安全率・・・どんな製品でも、設計通りの性能で作る事はできず、バラツキが存在する。そこで、少し余裕を持った性能で設計・製造することで、多少のバラツキがあっても、実用上問題ないレベルに抑える。その余裕の割合の事を指す。
今回は19本の鉄筋を切断してしまったという事件であり、別の新聞記事によると、工事手順では、穴あけ作業中に鉄筋に当たったら、別の場所に穴あけする事になっていたようだ。そして、この作業員は、早く帰りたかったから別の場所に穴あけをしなかったと証言しているとの事。
安全率の考え方を適用するなら、鉄筋切断が一定の割合で発生する事を想定して、強度が十分に保たれるように工事内容・期間を設定するべきである。鉄筋切断しても十分強度が出るくらいの過剰強度を目標とした補強工事もしくは、鉄筋切断を許さない代わりに穴あけ時間を十分に見込んだ余裕ある工事期間の設定が必要である。
どちらにしても、材料費や人件費などコストアップは免れないが、最終目標の強度は確保できる。そのコストアップも今回のような再補強工事のコストに比べれば少ないのでは無いかと思う。
「保険」のコストをケチってまでコストダウンしようとする日本社会への警鐘かも知れない。

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